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新しいことをはじめる力はどこから来るのか
新しいことをはじめることは難しいと思い込んでいる人がたくさんいます。
失敗したらどうしよう、怒られるかもしれない。私にはできない。
人と違うことをすると変な人だと思われる−−。
しかし世の中には、新しいことを次から次へと思いつき、実現していく人がいます。
失敗をするのは当たり前、まわりの人を巻き込み、失敗を恐れず、多くの人の意見を聞きながら、自分の感性を信じて魅力的で興味深い、新しい活動をつくる力を持つ人です。
今、さまざまな現場でそのような力が求められています。近年の気象変動による世界規模の災害や、環境汚染、感染症の脅威を乗り越えるには、過去の常識にとらわれることなく、新しい活動をつくり出せる力が必要です。
人は無限の能力を遺伝子として引き継いで生まれます。しかしその能力を活かせるかどうかは、暮らす環境によるとされています。多くの人は、活かすべきスイッチを入れるきっかけに出会うことがないまま暮らしているのかもしれません。環境からの迫害や圧力が、そのスイッチを切ってしまうこともあるのだとか。その地域の常識や規範のようなもの、教育や産業という制度がさまざまな能力を抑圧しているのかもしれません。
秋田公立美術大学は、それぞれの能力を活かす環境を目指しています。新しい価値観をもつ多方面の実践者と出会い、さまざまな素材や道具と出会い、自分の無意識に向き合い、主体的な制作ができる環境です。自分の感性から発想したことを形にしようと摸索すること。それを繰り返し、失敗を重ねることで発想力と表現力は身につきます。それが許されている環境から次世代に必要な、新しい活動をつくる力は生まれます。そのこどもバージョンが、「こどもアートLab」の目指すところです。
「こどもアートLab」は、新しい価値観を持つ多方面の実践者との遊びのなかで、さまざまな経験と出会い、感性を育む環境を目指します。
(美術家・NPO法人アーツセンターあきた理事長 藤 浩志)

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